その考えは、キャンベルさんが鳴子に通ううちに感じたことだという。 「温泉から上がった時のピースフルな気持ちと、本を1冊読み終わった時の爽快感って似ていませんか? 入浴と読書との相性の良さは鳴子が教えてくれたような気がします」。 江戸時代の書物には、蔵書印として温泉名が記された本があるのだとか。 「常備品として宿に本を置いていたんでしょうね。 昔から̋〝読書と温泉〟は、〝well|being〟(幸福)を考えるときにすごく大切な手立てだったのかもしれません」。
本から感じた想いを結び合う場を作ったキャンベルさん。 そして「湯よみ文庫」のこれからに、こんな希望を込める。 「本を自由に手に取ることができる場所を作って、宿泊客だけでなくこの街に暮らしている方に利用してもらいたいですね。一番のチャレンジは躍動的なブランディングを展開すること。 そして読書と温泉のつながりを誘うことができる〝温泉レンジャー〟のような存在も必要だと思います。 本を読むという静的なものと、イベントのような動的なものの中間にあるような場所を深めていきたいですね」